信州で収穫されたソルガムを使ったkibi初のクラフトビール試作品が完成しました!
「まずは、どなたに試飲してもらおうか…」と関連会社にいる元料理人の社員に相談したところ、白羽の矢がたったのが、今回インタビューに応じて下った蒔苗敬生さん。有名フレンチ店で長年支配人を務め、現在シニアマネージャーとして活躍されている食のプロフェッショナルです。
20代の若かりし頃、憧れていたあのフレンチ店でお客様を迎え入れていた方と会えるなんて…とわくわくびくびくしながらメールをお送りしたところ、とても快く引き受けてくださり、インタビュー当日を迎えました。
インタビューではソルガムビールの味わいや今後の展開について、食に携わる専門的立場の観点からお話しを伺いました。
食のプロフェッショナルに聞いたソルガムビールの味わい
Q:味の第一印象について、ざっくばらんに教えてください。
植物や土の香りを感じますね。乳酸っぽいヨーグルトのような味わいも感じますし、全体像として味わいの厚みがあります。香りが高く、豊かな味わいを楽しめるビールのスタイルとして、「エール」というカテゴリーがありますが、このソルガムビールは体によさそうというヘルシーな感覚があります。また、芳醇な赤ワインの魅力を引き出すには18℃程度が適温と言われていますが、このソルガムビールもあまり冷えていない方がその美味しさや個性が引き立つかもしれないですね。
Q:どんな雰囲気のお店に合うと思われますか?
日本食に合うイメージです。例えば、煮物とか鍋とかでしょうか。フレンチ的に言うと、フォアグラなどコクのある前菜に合わせても合いそうですね。
Q:今回のビールはソルガム50対大麦50の割合でつくっていますが、ソルガムはそもそもグルテンフリーの食材です。お客様に近いお仕事をされていらして、こういった健康を意識した食品は需要としては増えていると感じられますか?
レストランではお客様に食の時間を楽しんでいただく事が大前提です。お店によっては、お客様が来店される前に、アレルギーの有無や体に支障のある食材がないかなどの情報をこと細かく収集します。最近では、増粘剤などの食品添加物やバラ科の植物の着色料など特定の食材を避ける、宗教的に食べられない食材の指定や食習慣によるグルテンフリー対応など、お客様からの要望も多様化してきたと感じますので、需要としては増えてきていると実感しています。
食材と地域がつくる唯一無二のストーリー
Q:お客様に食を提供する場でお仕事をされていますが、提供する食材にストーリーがある場合と、ない場合で、何か違いは感じられますか?
「土地」を意味するフランス語terreから派生した言葉でテロワールという言葉があります。地域や地区、ブドウ畑によっても造られるワインに特有の個性が出てくるという考え方です。ブドウは日照時間や雨の量、気温、土壌など、あらゆる自然環境によって、見た目や味、香りが左右されるからです。最近では日本酒にもこのテロワールという言葉が広がってきて、原料となるお米を育てる土壌や醸造に欠かせない水の質、地元の蔵人の想いなどを売りにしている酒蔵も出てきました。なので、今回のソルガムビールが産地ごとにラインナップして展開していくのは面白いと感じました。ソルガムをテーマにして何をどうつないでいくかが重要になってくるのではないでしょうか。
Q:ソルガムの子実は今回のようなビールを始め、食材・加工食品として提供していくわけですが、その茎や根はクリーンなエネルギーとなります。「環境にやさしいから、これを食べる」という新しい食の選択肢についてどう思われますか?
食とエネルギーという一見全く異なるジャンルのものがストーリーとしてうまく繋がり、みんなで力を合わせていけば、実は環境問題という大きな課題すら解決することができるということが目に見えてくれば、人間ってアクションしていくものなのではないかと思います。極端な話、ソルガムビールを年間何本飲めば、気温が何度下がりますなんて言えたら、すごく新しい感じがして興味が湧きますよね(笑)